
漫画「香穂ちゃんは顔がわからない」は、人の顔を判別できない「相貌失認」を抱える高校生・林香穂が主人公。
香穂は、髪型や服装、声など、顔以外の特徴を頼りに周囲の人を見分けながら学校生活を送っています。
そんな香穂が同級生の奥野澄や、その幼なじみの神尾郁葉、クラスメイトとの関わりの中で、少しずつ「人を知ること」に向き合っていく物語です。
1巻では、香穂がクラスメイトを覚えるために書いたメモが思わぬ誤解を生み、そこから人間関係が大きく動き始めます。
この記事では、「香穂ちゃんは顔がわからない」1巻に収録されている第1話~第5話のネタバレと感想を紹介。さらに、香穂がどうやって人を見分けているのか、なぜ相貌失認を周囲に話せなかったのかなど、1巻を読んで気になったポイントについてもまとめました。
※ここから先は『香穂ちゃんは顔がわからない』1巻の内容に触れています。ネタバレを避けたい方はご注意ください。
香穂ちゃんは顔がわからない 基本情報
- 原作:青空青豆 / 漫画:綾野綾乃
- 出版社:講談社
- 掲載:コミックDAYS
- ジャンル:ヒューマンドラマ
香穂ちゃんは顔がわからない 1巻のネタバレあらすじ
ここからは、「香穂ちゃんは顔がわからない」1巻(1話~5話)の内容をネタバレありで紹介します。
第1話
高校の入学式を迎えた主人公・林香穂は、相貌失認(人の顔を判別できない症状)を抱えています。
表情も判別できず、家族の顔すら分からないため、髪型や服装で人を見分けるしかありません。
唯一、香穂のことを理解して接してくれるのは、友人の国村萌花だけ。入学式では萌花の特徴的な髪型のおかげで彼女を見つけることができました。
写真撮影を手伝ってくれた同級生・奥野澄と、さっそく知り合いになれた香穂。しかし他の生徒に紛れると、どれが澄か分からなくなってしまいます。
それでも香穂は「顔が分からないなら、みんなをよく知ろう」と前向きに決意するのでした。
相貌失認という重い設定なのに、香穂が超ポジティブで前向きなのがいいです。落ち込むだけの主人公じゃないところに好感が持てます。
萌花という理解者がいるのも救いですし、これからどんな出会いがあるのか楽しみです。
第2話
萌花とはクラスが分かれてしまいましたが、香穂は頼ってばかりではダメだと、まず自分の力で頑張ることに。
入学式で出会った澄は同じクラスで隣の席。さらに彼の幼なじみである神尾郁葉と、早くも友達になれたことを香穂は内心喜びます。
自己紹介の時間、クラスメイトを覚えるチャンスだと考え、みんなの特徴をメモしていく香穂。
しかしそのメモを郁葉に見られ、内容を誤解されて不機嫌にさせてしまいます。
萌花に頼らず自分で世界を広げようとする香穂の姿勢がまっすぐで好感。
ただ、特徴メモを誤解されてしまう展開は、相貌失認ゆえの“すれ違いの始まり”として切ない。郁葉の反応も、事情を知らなければ当然かもと思わせるリアルさがありました。
第3話
メモに「美人かもしれない」と書いたことが誤解を招き、郁葉は香穂を避けるようになってしまいます。
中学時代の辛い記憶がよみがえった香穂は、昼食時に教室を飛び出してしまいました。
澄はそんな香穂を心配し、昼食に誘います。
そのころ、香穂が落とした特徴メモを拾ったクラスメイトの石川翔也は、面白半分で持ち主探しを始めていました。
誤解がどんどん悪い方向に転がっていくのが辛い…!
教室を出て行ってしまう香穂でしたが、澄がさりげなくフォローに来てくれ、二人の距離が少し縮まるのが救いです。
どうやら澄も何か過去をかかえてそうです…。
第4話
翔也はメモの持ち主探しを口実に、メモの内容をクラス中にばらしてしまい、内容によって傷つく女子生徒も出てしまいます。
郁葉はメモを見て香穂のものだと気づき、翔也から取り上げて香穂のもとへ向かいます。
そして、クラスで騒ぎになっていること、事情があるなら説明すべきだと伝えました。
澄はメモを書いていた時の香穂の様子を覚えていたため、悪意はなかったと信じてくれました。
香穂は澄にだけ、自分が重度の相貌失認であることを告白し、誤解を招いたことを反省します。
しかし、他の生徒に打ち明ける勇気はまだ持てずにいました。
ふさぎ込む香穂を見て、澄は「自分も変わりたい」と思い、ある行動に出ます。
メモがクラス中に広まり、悪意の無い言葉が一瞬で「悪口」に変換されてしまう展開が本当に辛い。でも郁葉が香穂を心配する側に回ってくれたり、澄の理解があったのは救いです。
澄には相貌失認を打ち明けることができても、香穂がまだ勇気を出せない葛藤もリアルでした。
第5話
澄は中学でいじめられ不登校になり、1年留年している過去をクラスに告白。
さらに、そのせいで壁を作っていたことを謝り、少しずつ皆と関わりたいと素直に伝えました。
クラスメイトは澄を明るく受け入れ、教室の空気が一気に柔らかくなります。
この澄の勇気に背中を押されるように、嗅覚過敏を抱える別の女子生徒も自分のことを打ち明け、クラスメイトは香りの強いものに気をつけようと受け入れてくれました。
この様子に勇気づけられた香穂は、自分も話してみようと心を決めます。
澄が勇気を出して、自分の弱さをさらけ出すことでクラスに変化が生まれていく展開に、胸が熱くなります。嗅覚過敏の女子生徒も続いて告白し、クラス全体が「受け入れる」空気になっていく様子に救われました。
次はいよいよ香穂が自分のことを話す番です!
香穂はどうやって人を見分けている?
香穂は「相貌失認」のため、人の顔を判別することができません。表情も分からず、家族の顔さえ分からないため、髪型や服装、背格好、声、しゃべり方など、顔以外の特徴から相手を見分けています。
第1話では、特徴的な髪型の萌花を見つけることができましたが、澄も人混みに紛れると分からなくなってしまいます。
だから香穂は「顔が分からないなら、みんなをよく知ろう」と考え、クラスメイトの特徴をメモするようになります。
ただ、そのメモが思わぬ誤解を生んでしまうんですよね。香穂にとっては人を覚えるための大切な方法でも、周囲から見ると違う意味に受け取られてしまう。相貌失認そのものだけでなく、「分かってもらうこと」の難しさも描かれていると感じました。
香穂はなぜ「相貌失認」のことを周囲に話せなかった?
香穂が相貌失認について話せなかったのは、中学時代に萌花以外の人から理解してもらえず、傷ついた経験があるからです。
「話しても、また分かってもらえないかもしれない」――そんな不安があるからこそ、澄には打ち明けられても、クラス全体に話す勇気は持てませんでした。
ところが第5話では、澄が自分の過去を告白し、さらに別のクラスメイトも自分の抱えている事情を打ち明けます。
それを見た香穂も「自分も話してみよう」と決意します。香穂が一歩踏み出すには、「話しても受け入れてもらえるかもしれない」と思える環境が必要だったんだと思います。
どうして澄は香穂を気にかけるのか?
澄が香穂を気にかけるようになったきっかけは、入学式の日の出来事でした。
道端でしゃがんでいた香穂を見て、澄は体調が悪いのかと心配して声をかけます。実際は桜の花びらを拾っていただけなのですが、澄自身も中学時代に体調を崩したり、いじめが原因で不登校になった経験がありました。
だからこそ、郁葉とのすれ違いで苦しむ香穂に「誰にも分かってもらえず、ひとりぼっちなのがつらい」という気持ちが分かったのだと思います。
そして、香穂が必死に人と関わろうとする姿を見て、澄自身も「もう少し人と関わってみよう」と思い直します。二人は、お互いが抱えているものを理解しながら、一緒に前へ進んでいく関係なのが印象的です。
香穂ちゃんは顔がわからない 1巻を読んだ感想
正直なところ、最初に読んだときは「香穂、めちゃくちゃ前向きだけど、ちょっとカラ元気っぽいな……」と思いました。
相貌失認という大きな悩みを抱えているのに、あまり落ち込まず、とにかく前向き。最初はそれが少し無理しているようにも見えたんですよね。
でも読み進めると、その「前向きさ」は無理をしているのではなく、 「顔が分からない自分でも、人を知りたい」というまっすぐな気持ちから来ていることが分かってきます。
そんな香穂が第1話で知り合うのが、イケメン男子の澄。そして澄の幼なじみとして登場するのが、美少女の郁葉です。
郁葉は最初、澄と仲良くする香穂をあまりよく思っていないように見えました。しかも、たぶん澄のことが好き。
なので私は、「これは澄に近づく香穂を邪魔する意地悪女子になるのかな?」なんて想像していたんですが……全然違いました。
郁葉は言いたいことはスパッと言うし、香穂にちゃんと助言もする。
澄への気持ちはありそうなのに、恋愛を理由にドロドロした展開になることもありません。
これが逆にすごく良かったです。
この漫画は、恋愛よりも「人を知ること」が軸になっているんだと思います。
相貌失認を抱える香穂が、どうやってクラスメイトを知り、見分けていくのか。そしてクラスメイトたちは、香穂のことをどう理解して接していくのか。
そこに焦点を当てているからこそ、恋愛のドロドロを入れなかったのは正解だと思いました。
もう一つ、読んでいて強く感じたのが、相貌失認を理解してもらう難しさです。
「顔がわからない」って、難しい
普通に生活していると、「人の顔が分からない」と言われても、なかなかその感覚を想像できません。
香穂が「空の雲を見ているのと同じで、どれも同じような違うような」と例えていたことで、私はなんとなくイメージできました。
でも、それでも実際にどんな感覚なのかを完全に理解するのは難しい。
だからこそ、中学時代の香穂が周囲から理解されなかったのも、少し分かる気がしました。
「顔が分からない」という香穂の悩みそのものだけでなく、自分の抱えているものを周囲に理解してもらうことの難しさまで描かれているのが、この漫画の面白いところだと思います。
今後、香穂がクラスメイトたちとどんな関係を築いていくのか、続きが気になる1巻でした。
「香穂ちゃんは顔がわからない」が好きなら「青に、ふれる。」もおすすめ
「香穂ちゃんは顔がわからない」を読んで、相貌失認というテーマに興味を持った人には、『青に、ふれる。』もおすすめです。
『青に、ふれる。』にも、相貌失認を抱える人物が登場します。
青に、ふれる。(全7巻・完結)
生まれつき顔に青いアザを持つ女子高生・青山瑠璃子と、彼女のクラスの担任になった神田先生の物語。
神田先生は生徒一人ひとりの特徴を手帳に細かく記録しているのですが、瑠璃子はある日、その手帳の中で自分の欄だけが空欄になっていることに気づきます。
実は神田先生は、相貌失認のため人の顔を判別することができなかったのです。
「人の顔が分からない」という共通したテーマだけでなく、人を見分けるために特徴を記録するというところにも、『香穂ちゃんは顔がわからない』と似た部分があります。
ただ、『青に、ふれる。』のほうが少し大人っぽく、落ち着いた雰囲気の作品です。
『香穂ちゃんは顔がわからない』が、香穂とクラスメイトたちの関係を通して「人を知ること」を描いているのに対して、『青に、ふれる。』はまた違った角度から、人とは違うものを抱えながら生きることや、人と分かり合うことの難しさを描いています。
相貌失認という共通点がありながら、描き方はかなり違うので、両方読んでみると面白いと思います。
まとめ
この記事では、「香穂ちゃんは顔がわからない」1巻に収録されている第1話~第5話のネタバレと感想を紹介。さらに、香穂がどうやって人を見分けているのか、なぜ相貌失認を周囲に話せなかったのかなど、1巻を読んで気になったポイントについてもまとめました。
相貌失認のため人の顔が分からない香穂ですが、「分からないからこそ、みんなのことをよく知ろう」と前向きにクラスメイトと関わろうとします。
その一方で、相貌失認を理解してもらえないことで誤解が生まれたり、過去の経験から自分のことを話せなかったり……。
1巻では香穂だけでなく、澄や郁葉など、それぞれが抱えているものも少しずつ見えてきます。
恋愛を中心にした物語ではなく、「人を知ること」「自分のことを理解してもらうこと」「違いを抱えた人同士がどう関わっていくのか」を丁寧に描いている作品だと感じました。
ここから香穂がクラスメイトたちとどんな関係を築いていくのか、続きが気になります。
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