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【罪と罰のスピカ】名も無き殺意ネタバレ|タクシー運転手編の真相

「罪と罰のスピカ」名も無き殺意

「罪と罰のスピカ」タクシー運転手編は、派手な復讐やカタルシスではなく、静かに、しかし確実に心をえぐってくるエピソードです。

一見すると、過去に虐待を受けた男が連鎖の中で殺人鬼になった物語。しかし読み進めるほどに浮かび上がるのは、「なぜ殺意は生まれ、なぜ止まらなかったのか」という問いでした。

この記事では、矢崎吾郎という男の二面性、殺意の“署名”の正体、そしてスピカが下した裁きを、結末まで完全ネタバレで振り返ります。

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※この記事は『罪と罰のスピカ』第12話~19話(名も無き殺意)のネタバレを含みます。未読の方や、これから読みたい方はご注意ください。

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罪と罰のスピカ「名も無き殺意」タクシー運転手編とは?

罪と罰のスピカ』第12話〜第19話に収録された「タクシー運転手編」は、連続殺人犯・矢崎吾郎とスピカの対決を描いたエピソードです。

矢崎は、何十年にもわたりタクシーの乗客を殺害し続けてきたシリアルキラー。 しかし現在の彼は、認知症の兆候も見え始めた、どこにでもいそうな“おじいちゃん”として日常を送っていました。

その殺意には、復讐や怨恨といった明確な動機がなく、本人ですら理由を語れない“名も無き”ものとして描かれます。

物語は、彼の幼少期の記憶から始まり、バブル期の犯行、そして現在――認知症を患いながらも平穏な老後を送る矢崎のもとに、スピカが介護ボランティアとして現れるところから、静かに動き出します。

このエピソードでは、スピカの能力によって矢崎の過去が暴かれ、彼の殺意の“署名(シグネチャー)”が明らかになります。

そして、スピカは彼に“罪の記憶”を突きつけ、裁きを下すのです。

罪と罰のスピカ「名も無き殺意」ネタバレ

ここからは、『罪と罰のスピカ』第12話〜第19話に描かれた「タクシー運転手編」の事件を、時系列に沿って完全ネタバレで詳しく振り返っていきます。

幼少期の記憶と虐待

物語は昭和初期と思われる時代から始まります。

父親が幼い息子を車に乗せて走り出しますが、暴言を吐きながらの運転は荒く、イラついた父親は、吸っていたタバコの火を少年の手のひらに押し付けます。

この痛みと恐怖の記憶が、後の矢崎吾郎の人生に深い傷を刻むことになるのです。

矢崎吾郎という男の二つの顔

時代は流れ、バブル期。タクシー運転手となった矢崎は、繁華街で乗せた青年から「今から人を殺そうと思っている」と告白されます。

受験の失敗、失恋、父親からの虐待——絶望した青年に対し、矢崎は更生した自分の身の上を語り、「人生捨てたもんじゃない」と諭します。心を動かされた青年は考えを改め、自宅へ帰ることにします。

しかし矢崎の話はすべて嘘でした。彼は青年に飲み物を与えて眠らせ、廃工場へ連れ去ります。

目を覚ました青年の前で、矢崎は本性を現しました。

父親の影響で「ハンドルを握ると性格が豹変する」と思い込んでいた矢崎は、彼は後腐れのない乗客を見つけては、タクシーの牽引ロープで首を絞めて引きずり回し、殺害を繰り返していたシリアルキラーだったのです。

逃げ切った連続殺人犯

自宅に戻った矢崎は、愛する妻・香里奈と子供たちに囲まれた「良き父親」の顔を見せます。家族が寝静まった後、殺害した犠牲者たちの写真を眺めることを密かな愉しみとしながら、数十年にわたり殺人を重ねてきました。

月日は流れ、矢崎は65歳で定年退職し、免許も返納します。

過去の犯行現場から遺体が発見されたというニュースに接しても、自分が捕まっていないことに内心驚きつつ、娘の結婚式では父親として涙を流し、「殺人から逃げ切った」と確信して穏やかな隠居生活を送ろうとしていました。

スピカの潜入と殺人の署名

認知症の兆候が現れ始めた矢崎は、トラックに轢かれそうになったところをスピカに救われます。

その時点では、誰の目にも気の弱そうな“おじいちゃん”にしか見えませんでしたが、スピカは矢崎が殺人を犯したと思われる心の声を拾います。しかし矢崎本人はすっかり忘れているようでした。

スピカは介護ボランティアとして矢崎の施設に潜入し、過去の罪を暴こうとしますが、記憶が曖昧な矢崎から証言を引き出すのは困難でした。

クラスメイトの十秤から、シリアルキラーには心の欲求が形となった犯行パターン「殺人の署名(シグネチャー)」があると学んだスピカ。

ある日、矢崎の前に黒電話のコードを差し出した瞬間、封印されていたトラウマが一気に蘇ります。

矢崎の母親は、不倫相手に首を絞められることに快楽を感じる性癖を持っていましたが、ある日、黒電話のコードで絞められすぎて命を落としていました。

矢崎が「30歳前後の女性と20歳前後の男性」を狙い、「首に縄をかけて引きずる」手法に執着していたのは、この母親の死に結びついた「署名」だったのです。

結末|連続殺人犯の最期

すべての記憶を取り戻した矢崎はスピカを殺そうとしますが、スピカは矢崎にすべての罪を自覚させたうえで、枕で彼を窒息させます。

その後、スピカは矢崎の自宅の庭から、隠されていた「殺害コレクションの写真」を掘り起こします。

現場を目撃した妻・香里奈は、夫の正体に気づきながらも家族の平穏を守るため長年黙認していたのでした。

スピカは「殺された人にも家族はいる」と告げます。香里奈はスピカを殺そうとスコップを振り上げますが、実行することはできませんでした。

後日、スピカは写真を公表し、30年以上謎とされてきた「名も無き殺人鬼」の正体が矢崎吾郎であったことが報じられます。事件は、ついに解決を迎えたのです。

罪と罰のスピカ 「名も無き殺意」感想・考察

ここからは、タクシー運転手編で描かれた“殺意の正体”と、スピカの裁きについて掘り下げていきます。

なぜ矢崎吾郎は殺人を繰り返したのか?
スピカはなぜ彼を裁いたのか?

物語の核心に迫る考察を通して、このエピソードの異質さと深さを読み解きます。

タイトル「名も無き殺意」の意味とは?

この事件で描かれる殺意には、復讐や怨恨といった分かりやすい動機がありません。

矢崎吾郎は、特定の誰かを恨んでいたわけでも、社会に怒りを向けていたわけでもありません。

彼の中にあったのは、理由を言語化できないまま繰り返されてきた殺意でした。

それは本人ですら正体を理解できず、長い間「ただ湧き上がるもの」として扱われていた感情。

だからこそ、この殺意には名前がなく、「名も無き殺意」と呼ばれるのです。

「殺意」はどこから生まれたのか

タクシー運転手編で最も衝撃的だったのは、矢崎吾郎の殺意の引き金が「ハンドル」ではなく、幼少期の記憶と結びついた“黒電話のコード”だったという事実です。

母親が不倫相手に絞殺された記憶。
そのとき使われていたのが、黒電話のコードでした。

矢崎が「首に縄をかけて引きずる」という手法に異様なまでに固執していたのは、過去のトラウマを無意識に再現し続けていたから

つまり彼の殺人は、衝動ではなく、“記憶の反復”という形で長年続いてきた習慣のようなものだったのです。

越えられなかった一線

また、妻・香里奈の存在もこのエピソードに深みを与えています。

彼女は夫の正体に気づきながらも、家族の平穏を守るために沈黙を選びました。

しかし、スピカを前にして「人を殺す」という一線だけは、どうしても越えることができませんでした。

同じ“家族を守る”という立場にありながら、罪を重ねた矢崎と、最後の一線を踏みとどまった香里奈。

この対比が、矢崎吾郎という男の狂気をより鮮明に浮かび上がらせます。

そもそも本当に家族を思っていたなら、“写真を残しておこう”などとは考えなかったはず。香里奈と違い、矢崎は最後まで自分の欲求のことしか考えてなかったのでしょう。

タクシー運転手編はなぜ印象に残るのか

「名も無き殺意」が読後に強く残るのは、この事件が“すでに終わった殺意を掘り起こす物語”だからでもあります。

犯人はすでに殺しを終え、逃げ切ったと信じている。

そこにスピカが現れ、忘れられた罪を呼び覚まし、終わらせる。

派手な復讐劇ではなく、日常の延長線上で静かに繰り返されていた殺意

その異質な構造と、スピカの冷徹な裁きが、このエピソードをシリーズ屈指の“重さ”と“余韻”を持つ物語にしています。

衝撃的なのは、これほどの殺人を重ねた人物が、「どこにでもいるおじいちゃん」として社会に溶け込んでいたことです。

まとめ|名も無き殺意が残したもの

この記事では、矢崎吾郎という男の二面性、殺意の“署名”の正体、そしてスピカが下した裁きを、結末まで完全ネタバレで振り返りました。

矢崎吾郎の殺意は、怒りや快楽ではなく、幼少期の記憶に根ざした“名も無き感情”の反復でした。

スピカはその記憶を暴き、罪を自覚させたうえで、静かに裁きを下します。

そして、すべてを知りながらも沈黙していた香里奈が、最後の一線を越えられなかったことで、矢崎の狂気と人間性の断絶がより際立ちました。

スピカの裁きは、救いではなく“終わらせる”ための行為。 「名も無き殺意」は、そうしてようやく名前を与えられ、長い時間をかけて、静かに幕を下ろしたのです。

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