漫画「緋い初夜～家畜同然に売られた女の復讐～」は、「美醜の大地」で話題の藤森治見先生の短編集です。
奴隷として生きる女性をテーマとする本作品は、４編の短編が収録されており、それぞれ中東、中国、日本、アメリカと思われる国が舞台となっています。短編なのでストーリーの展開は早いですが、どれも良い意味で裏切られるストーリーで読みごたえのある作品です。
この記事では漫画「緋い初夜～家畜同然に売られた女の復讐～」のあらすじをネタバレしつつご紹介します！
作品データ
- 著者：藤森治見
- 出版社：ぶんか社
- 掲載誌：ストーリーな女たち
- ジャンル：ヒューマンドラマ
- 単行本巻数 ：全1巻
第1話「緋い初夜」あらすじネタバレ
それは、遠い遠い場所からきた女の子の話。一族の長の娘・ラジアは父と兄弟たちと平和に暮らしていました。父はラジアに、常に清く正しく在りなさいと説きます。そうすれば神が救ってくださるからと。
しかしラジアの一族はふたご山の一族から夜襲をうけ、族長である父は殺されてしまいます。そして族長の娘であるラジアは和解のため、ふたご山の一族へ嫁として差し出されることに。
ラジアはふたご山の一族の女となり、家事や家畜の世話、そして叔父たちの性のはけ口としてボロボロになるまでこき使われます。 それでもラジアは亡き父親の言葉を胸に、必死に生きるのでした。
1年たち、ずっと不在で会ったことのない夫・シャーヒドが帰ってくることになりました。しかし婚姻前のしきたりで純潔でないことを知られたラジアは、処刑されることになり閉じ込められてしまいます。
ラジアは死にたくない一心で逃げ出しますが…。
第2話「姫君の残虐遊戯～人殺しごっこ～」あらすじネタバレ
領主の娘・暁姫（ぎょうき）は、奴隷に出し物をさせては面白くないと言って奴隷を殺していました。その中で、ある娘が特技の飴細工を見せると、暁姫は気にいり、李桂（りけい）という名のその娘を女官として取り立てます。
他の女官たちは、奴隷からいきなり姫付きになった李桂をねたみ、殴る蹴るの暴行を加えました。
しかしその様子を見た暁姫は、女官たちに冷たい視線をやると、李桂に優しく歩みよるのでした。
その後も李桂は暁姫に呼ばれると、飴細工を作って見せました。暁姫が李桂に興味を持つ様子を見て、暁姫の教育係・張表（ちょうひょう）は、李桂なら残虐でわがままな暁姫を変えられる気がすると言います。
しかし、あいかわらず暁姫は女官に殺し合いをさせたり、ミスをした女官に容赦のない仕置きをしたりと、残虐の限りをつくしていました。見かねた文官が暁姫の父に意見すると、彼らも処刑してしまう始末。
それが元となり内乱を起こす動きが広がり始め、それを知った張表は…。
第3話「つるの恩返し」あらすじネタバレ
双子のお通（つう）とお津夜（つや）は、長者の与平（よへい）によって火事から助け出され、彼のもとで働いていました。
お通が口がきけないのをいいことに、お津夜はお通が織った反物を横取りしたり、男と密通しているのをお通だと見せかけたりしていました。そしてお通が叱られているとかばうふりをして、周囲の人たちに良い姉という印象を与えるのでした。
そんなある日、与平はお手伝いの中に嫁にしたい娘がいると両親に話します。実は、与平は反物を織っていたのはお通で、悪いうわさの張本人がお津夜だと知っていたのです。与平はこれからは自分が守るとお通に約束してくれ、2人は結ばれます。
数カ月後、密通を重ねていたお津夜は妊娠し、同時にお通も与平の子を妊娠します。それを知ったお津夜は、自分がお通に成り代わり与平の子供を産むと言ってお通に襲いかかり…。
第4話「平原を駆けた女 カラミティ・ジェーン」あらすじネタバレ
荒野を進む移民の娘・ジェーンは、ならず者に犯され父を殺されてしまいます。残された家族のため、ジェーンは男として生きることを誓い、数々の屈辱に耐えながら銃の腕を磨いていました。
銃の腕でジェーンの右に出るものがいなくなった頃、原住民に襲われそうになったジェーンをひとりの軍人が救います。妹たちに豊かな暮らしをさせてやりたいと考えていたジェーンは、これはチャンスだと思い、その男に自分も軍人になりたいから連れて行ってほしいと頼みます。
男はビルという名のガンマンで、ジェーンを指揮官のジョージのもとへ連れて行きます。斥候を務めることになったジェーンは、ビルとともに初めての任務に出かけ見事な活躍をおさめるのでした。
ジェーンがケガをしたことで、指揮官のジョージに女であることがバレてしまいますが、ジョージは口外しないことを約束してくれます。そんな2人のやりとりを、ビルも聞いていて…。
このお話は実在した男装の女性ガンマンが元となっているようです。
まとめ
漫画「緋い初夜～家畜同然に売られた女の復讐～」のあらすじをネタバレしつつご紹介しました。
現代でも根強く残る女性への差別・偏見について描かれており、読後とても考えさせられます。たくさんの方に読んでいただきたいです。また、復讐する女性の美しさ、虐げられながらも強い女性と、「美醜の大地」に通じるものがあるので「美醜の大地」が好きな方には特におすすめです！
拷問シーン、虐殺シーンがあります。こちらの記事ではそこは詳しくネタバレしていませんが、苦手な方は電子書籍サイトで試し読みなどされる際、ご注意ください。