
そんな家族なら捨てちゃえば?」は、一見すると普通に見える家族の中にある歪んだルールと支配関係を描いたヒューマンドラマです。
なかでも強烈なのが、家の廊下に貼られた「セロテープ」。
正直なところ、この違和感が気になって思わず読み進めてしまいました
結論
- セロテープの意味は単なる嫌がらせではない
- 家族関係の歪みや、登場人物の価値観が凝縮された象徴的な仕掛け
この記事では「そんな家族なら捨てちゃえば」の中でも特に気になるポイントであるセロテープの意味を中心に、作品の見どころを解説していきます。
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※「そんな家族なら捨てちゃえば」は、雰囲気が合うかどうかで好みが大きく分かれます。
気になる方は、先に無料分だけでも立ち読みしてみることをおすすめします。
「そんな家族なら捨てちゃえば?」の基本情報
- 著者:村山渉
- 出版社:芳文社
- 掲載誌:コミックトレイル
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 単行本巻数 :既刊14巻(2025年12月現在)
「そんな家族なら捨てちゃえば?」のあらすじ
篠谷令太郎の家族は、一見すると普通の家庭に見えます。しかしこの家には、いくつもの奇妙なルールが存在します。
なかでも象徴的なのが、家の廊下に貼られたセロテープ。
令太郎は、そのセロテープを越えて生活することを許されていません。
ある日、偶然知り合った女性・沙耶子からそれはDVではないかと指摘され、令太郎は初めて自分の置かれている状況と向き合うことになります。
「そんな家族なら捨てちゃえば?」の気になるポイント

- 廊下に貼られたセロテープ
- ひと息つかせるクイズ
- 嫌な妻・和美の変化
それでは順番に見ていきましょう。
廊下に貼られたセロテープ
家の廊下にセロテープが貼られている。
それだけでこの家庭の異常さは充分伝わってきます。
なぜセロテープなのか、気になりますよね
セロテープが貼られるきっかけは、和美が妊娠していた頃の令太郎のある発言でした。
令太郎は、和美とお腹の子の命を天秤にかけるような言葉を無自覚に口にしてしまいます。
和美にとってそれは、人生を左右する重い選択を一人で背負わされた決定的な出来事でした。
その翌日から、廊下にセロテープが貼られるようになります。
セロテープは、物理的な境界であると同時に、令太郎の存在を家庭から切り離すための象徴のようにも見えます。
- 一緒に食事をしない
- 挨拶をしない
- 音を立てない
- トイレを使わない
こうしたルールを見ているだけで、この家庭がすでに破綻していることが分かります。
そしてルールだけでも変わった作品ですが、既視感のない作品でもあります。
どこかで読んだと感じることがない作品なので、物語の行く先がまったく読めないのが魅力です。
※2025年12月 追記
物語が進む中で、廊下のセロテープについて作者の意図がよりはっきり描かれる場面があります。
具体的には、単行本14巻に収録されている98話付近で語られます。
ただし、すべてが説明されるわけではなく、解釈の余地が残る描写になっているため、この作品らしい余韻はしっかり残っています。
セロテープの意味が気になっている人は、このあたりまで読むと作品の見え方がかなり変わると思います。
私はすぐに読める電子書籍のほうが楽だったので、シーモアを使いましたが、試し読みで雰囲気を確認してから続きに進めるのもおすすめです。
ひと息つかせるクイズ
令太郎は、自作のクイズをSNSに投稿するのが趣味です。
このクイズは、重くなりがちな物語の中で一息つかせてくれる存在であり、同時に物語のカギにもなっています。
正直、難しくて解けないことも多いです…
クイズは、令太郎と娘・一花をつなぐ数少ないコミュニケーション手段でもあります。
不器用な登場人物たちが感情を伝えるための装置として、物語の中で重要な役割を果たしています。
DV妻・和美の変化
「そんな家族なら捨てちゃえば」は、女性の嫌な部分をこれでもかと見せてくる作品ですが、その代表格が令太郎の妻・和美。
自己愛が強く、自分の都合のいいように思い込む、他人の話を聞かない…。
正直、和美がいなければ全てうまく行くのでは?と思えるほどイライラさせられます。
そしてイライラするのに読むのをやめられません!
それでも和美は、まったく変わらない存在ではありません。
少しずつですが、変わろうとする兆しが見えるからこそ、読者は結末を見届けたくなってしまいます。
「そんな家族なら捨てちゃえば?」の登場人物

篠谷 令太郎
妻と娘から無視され、DVを受けている夫。
クイズを作るのが趣味。
和美
令太郎の妻。
夫に奇妙なルールを課し、DVをしている。
一花
令太郎の娘。無口な性格で、不登校。
SNSのクイズを令太郎が作っていると知らずに楽しみしている。
倉敷 沙耶子
ストーカー被害に遭い、引っ越してきた女性。
令太郎を気にかけ助言する。
光
沙耶子の息子。
一花のクラスの転校生。
「そんな家族なら捨てちゃえば?」のまとめ
この記事では「そんな家族なら捨てちゃえば」の中でも特に気になるポイントであるセロテープの意味を中心に、作品の見どころを解説していきます。
作中に出てくるセロテープは、単なる奇抜な演出ではなく、家族関係の歪みを象徴する重要な要素です。
読み進めるほどに、「もし自分だったら」と考えさせられる場面が増えていきます。
気になっている方は、まずは立ち読みだけでもチェックしてみてください。

